hokkaido_book’s diary

北海道に住む書店員による書店員のためのお勉強会備考録

第2回書店員勉強会

北海道に住む書店員による書店員のためのお勉強会。本日は第2回目。

初めましてのご挨拶を前回済ませてある4人が和やかな雰囲気で談笑を交わしつつ、さてそろそろ開始のお時間ですかねといった矢先、「聞いてください!私、同僚スタッフから仲間外れにされてるんです(涙)」といきなりぶっこんできた物騒なネタ披露から本日の勉強会、さぁスタートです!

 

 

 目次:

 

サクッと読みたい方はこちら⇒(1分で読めるようにまとめてあります)

【 書店員スタッフ間トラブル解決方法 】

色んなお店で発生している対人トラブル。「今、スタッフ関係しんどい」と思いながら仕事している仲間は相当数いるんじゃないかな?それで辞めていく書店員もきっと多いよね?なんてもったいない…人員不足なんだしなんとかせねば…「では、どうしたら?」ということで皆で対応策を考えてみました。

 

 その1『私は現在これこれこういう仕事を受け持っておりますアピール』

 誰だって得体の知れない人間を理解しよう、近づこうとは思わない。よって、情報を開示して正しく自分を理解してもらい、大変さ具合を共感してもらえれば仲間意識も芽生えるのではないか?

その2『ごめん。これやりたい仕事だった?』

適材適所が一番良いに決まってますが、自分が好きなジャンルの担当になれる程本屋は甘くありません。つまり羨望・嫉妬の感情からトラブルになっている可能性もあります。

だとしたら「一緒に仕事、しませんか?」と巻き込むことも一つの解決方法なのでは?

その3『一緒に共通目的を持ちましょう』

 青春少年漫画戦法です。ライバルだけど、あのでっかい敵を一緒に倒そうぜ!この際敵は何でも良いです。でも、出来ればお客様だとか他のスタッフじゃない方が美しいです。

その4『上司に相談致します』

違う視点で見てもらうと案外斜め上のところから解決策が降って湧いて出てくることも。

 

とりあえずこの4点が問題解決への行動選択肢となりそうですよ。参考になれば幸いです。

次回続報を待つ。次の手はまた皆で一緒に考えよう。

 

【加納ドリーム】

かの書房店主は言いました。「ビルのオーナーになりたいです」

なんと加納さん、札幌に個人書店複合ビルを建設する夢をお持ちらしい。

3階建て位の建物で、1Fにはカフェが入ってライターさんのお仕事や打ち合わせに使えるスペース、2・3Fに例えば1区画8坪程度の個人書店がみっちり入って、それぞれ得意分野で勝負する書店ビル。家賃・売上を折半するいわゆるシェア書店ではなく、あくまで一つずつが1店舗。版元さんが期間限定で実店舗を設けても面白い。「札幌にそういう文化的スペースを作りたいんだ!」

さすがです。持っている夢がでっかいどー。

 

ここで一人途中参加。自己紹介がてら

【書店員今読んでる本】

書店員A:太田紫織「昨日の僕が僕を殺す リュウグウノハナヨメ」

元々面白い本を書く北海道の作家さんって知ってたし、偶然目の前の商品がサイン本だったのでつい…。

書店員B:江戸川乱歩「少年探偵団シリーズ」

読み語りイベントで言葉に触れる体験をしてすごく読みたくなったので。

書店員C:前田珠子破妖の剣シリーズ」

大昔に読んだ記憶が蘇り、急に読みたくなったので。

書店員D:「BRUTUS 読書入門」

本にマーキングしながら読む自分と同様のスタイルで読書する古市憲寿さんの記事が載っているし、面白そうな本が沢山載っていそうだったので。

書店員E:澤江ポンプ「パンダ探偵社」

ツイッターで他店POPを見て面白そうだと思ったので。

 

皆さん本の紹介している時、めっちゃ目が輝いていたの気付いてました?自分が出会った本をついついおススメしちゃうのは書店員の性ってやつなのかしら?

 

【書店員アカデミーをやるならば】

現場で働く書店員に求められている知識って、正直「魯山人が書いた本は次のうちどれだ?」みたいな文学史的なものは少なくて、お客様から得た「昨日だったかいつだったかの新聞に載ってた」みたいな少ない情報からいかに早くたった一冊のお探しの本に辿り着くか?という検索能力、そのための方法論的な知識の方が役立つものだったりしないだろうか?

もし、新人スタッフさんを救うべくこの北海道書店員の集まりでレクチャーすることがあるならば、より実践的なお問い合わせへの対処方法を教えてあげたいね、という総意を確認。

 

【やりたいフェア(こんな風にやってみたら?)】

案1「全然違うジャンルの本を発端に語学書をアピールするようなフェアを組みたい」

いいですねー。例えば、ドイツの本屋さんの話(ドイツでは書店員になるためには学校に行く必要があるらしいですよ)からのドイツに興味持った?行きたくなった?ドイツ語勉強したくなってこない?いい本あるよ。と繋げれたら面白い、との提案あり。なるほど。

案2「末井昭さんの『自殺会議』は面白いよ!あ、自殺というワードでフェア作っちゃう?」

例えばー、この人たちみんな自殺した作家なんです特集!とか、自殺の歴史をひも解く本を並べてみては?等々。なぜか流れるようにアイディアが湧き出てくる書店員たちの頭の中。

自分の店では出来そうにないテーマでも、例え他人の店のフェアであっても、あれこれ考えるのはかなり楽しい議題なのだという事が判明しました。

 

【書店から見た「買切」とは】

「返品できない」こんな当たり前のたった一つの条件だけなのに、我々書店業界にとって尋常ならざる存在感を放つ「買切」制度。

果たして書店から見た「買切」のメリットって何なんでしょうか?

答えは3つ。

 

①粗利UP、②小さな版元さんを応援しやすい、③本屋さんを始めるハードルが低くなる。

 

これって大型書店になるほどメリットが小さくなるのですが、他にもあれば是非教えて頂きたい!っていうか、やっぱりア〇ゾンさんの値引き云々はズルっこだよぉ(涙)

 

【熱量ある棚づくりって何だ?】

ナツヨム2018、奇跡の本屋 in 紀伊國屋書店札幌本店、過去に行なったオリジナル企画 等々を参考に検証したところ。

 

①独自性があること、②手間がかかっていること、③親しみやすいこと、④お店に行くたびに品揃えが違うこと

 

そうだね。まさにそうだよね。

そしてまず大前提として書店員の熱意が必要。これもそうだよね。ただ問題としては、この熱意ある書店員が一人で全部背負いこんでフェアを組んでいること。装飾だって自腹が大半。POPも「文章なら書けるのに」とか言いながら苦手な絵も描いて、人目を忍んだ残業でフェア入れ替えやって。「そもそもこのフェアの選書で勝負できるのか?」とか不安になりながら発注して…。

待って待って!ネットにはこんなにも沢山の書店員がいるんだよ?

他店のフェアを前のめりで組んじゃうような書店員がいっぱいいるよ?

じゃあ、手分けしてやる手があっても良いんじゃない?

その為の方策を今後我々は試行錯誤していきたいね、というお話。

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といったような事でやんややんやと盛り上がり、時計も見ずに白熱していたら4時間強も経過していました。

結果めちゃくちゃ楽しい時間だった第2回書店員勉強会。

第3回目、あなたも参加してみませんか?